- Tomita Akihiro
データの力で膝痛から解放する - 膝痛アドバイスAI
こんにちは、KneeNote開発者のTomitaです。
今日は私がKneeNoteで目指す未来について、お話ししたいと思います。
皆さんは医師や治療家からのアドバイスに満足してますか?「これは効果がありそうだ!」と納得してセルフケアに取り組んでいますか?
もちろん、膝痛を専門に取り組んでいる医師や治療家からのアドバイスは、的確で役立ちます。
ただ、一般的な整形外科では、少なくとも筆者の経験では「膝が痛いなら、太ももの筋肉を鍛えましょう」という、誰にでも言えそうなありふれたアドバイスしかもらえません。
また、ネット上に「膝痛には1分これだけで治る!」など、誰にでも効果があると誇張された動画や記事を見かけます。
しかし、慢性膝痛に苦しむ方の症状は一人一人異なります。したがって本来、効果のあるセルフケアも一人一人異なるはずです。
私は右膝の外側に安静時に痛みが出やすいのですが、膝の内側に動作時に痛みが出る方とは、痛みのメカニズムも効果のあるセルフケアも違うでしょう。
同じ変形性膝関節症と診断されたとしても、年齢、痛みの程度、生活習慣、筋肉の癒着度合いなどから、最適なセルフケアも変わってくるはずです。
ですが現状は、「平均的に効果がある」と思われるストレッチや筋トレのアドバイスが、ややもすれば漫然とされています。
そのため、あまり効果が実感できなかったり、逆効果になっているケースもあるでしょう。
何より患者目線で、「どういう根拠で私に効果があると言っているのか」、必ずしも納得できないこともあるでしょう。
こうした現状を変えたいと思う私は、「その人に効果がある」と思われる最適なセルフケアをアドバイスできる膝痛アドバイスAIを開発したいと展望しています。
ではどうすればこの未来を実現できるのでしょうか?
必要な要素は、慢性膝痛のセルフケアに関する大規模なデータと、そのデータから有意義な情報を抽出できる機械学習アルゴリズムです。
もし仮に「膝痛患者全員が日々の痛みとセルフケアを記録している世界」を考えてみましょう。
そして、私と同じような症状・環境の患者(30代・男性・デスクワーク・右膝外側痛み・手術歴アリ・・・)が、全国に500人いたとします。
その500人のうち、200人が大腿四頭筋のストレッチをして痛みが軽減、200人が大腿四頭筋の筋トレをして痛みが悪化、100人が何もせず痛みも変わらない、という記録が取れたとします。
もう簡単ですね。私と同じような患者には「筋トレではなくストレッチ」をすべきだと、アドバイスできます。
もちろん現実には、ストレッチも筋トレもしている人もいれば、別のセルフケアもしている人など、より複雑なデータになります。
ですが、近年発展している機械学習アルゴリズムであれば、そこから有益な情報を抽出できます。
そして、「こういう人はストレッチを、別の症状の人はまず筋トレを」と、症状に応じて異なるアドバイスを行えると考えています。
やや専門的になりますが、これまでは実験データと統計学に基づく「平均処置効果推定(ATE推定)」が主流でした。
「平均的にこのセルフケアはこれぐらい痛みを減らす効果がありそうだ」と推定します。私は大規模ログデータと機械学習で「条件付き平均処置効果推定(CATE推定)」に挑戦したいと思います。
「こういう属性・症状・環境の人には、このセルフケアはこれぐらい痛みを減らす効果がありそうだ」と推定します。
これに基づいて、一人一人の症状に合わせたセルフケアアドバイスを提供したいと考えています。
こうした未来を実現するためには、なるべく多くの膝痛患者さんの記録が必要です。
日本では今も数百万人の方が膝痛に悩まされ、様々なセルフケアを行っているはずですが、その記録はどこにも残っていません。
せっかくの貴重なデータが捨てられているのと同じです。
私個人は過去2年以上にわたって記録を付けていますが、所詮私一人のデータは私の振り返り用です。
私と似た症状の人のデータがあって初めて、どのセルフケアが本当に有効で、効果に再現性があるか推定することができます。
「一人一人のデータは微力でも、多くのデータが集まると大きな力になり、データを提供した一人一人の利益に繋がる」、そんな膝痛患者さん全員がメリットを感じられるエコシステムをKneeNoteで構築したいと思っています。
是非KneeNoteに日々の記録を付けて頂き、少しでもこうした未来に近づくお力添えを頂けると幸いです!
なお、KneeNoteでは匿名データのみ収集し、個人に紐づくデータは収集しませんので、ご安心ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!